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雨が降るから

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 衝動買いした姫リンゴの盆栽。理由は何となく、実のなる木が好きなのだ。青い実を幾つもつけた姫リンゴをひーちゃんと名付けた。

 淡々と日々は過ぎていく。膿んだように痛む私の心を置き去りにして。ひーちゃんに水をやり、思い出したくない記憶に苛まれた。愛する人からの暴言、暴力…優しかった少しだけの時間。引きずられる。苦しくて私は、手首を少し切ってみた。何も変わらない世界。手首に刻まれていく、傷。

 ひーちゃんに水をやるのを忘れていた。いや、植物に愛情を注ぐ余裕がなかった。それでも枯れてしまった葉っぱとグニグニになった実には悲しみを覚えた。猛暑にやられないように置いていた軒下から出して、乾いた声で「雨が降るから」と言った。

 傷が増えて、ぼろぼろになっていく身体。ずたずたなのは心なのに…。ひーちゃんの方は見もしないで歩く。毎日をただ、生きていくことしかできなかった。

 雨が降った。台風が来て、たくさんたくさん、雨が降った。外に出て、いつものように通り過ぎる庭で、鮮やかな黄緑色を見た。ひーちゃんだった。枯れた葉のわきから、柔らかそうな新しい葉っぱがたくさん生えてきていた。実は少しだけ赤くなっていた。「ひーちゃん、元気?」と声をかけた。

 その夜、手首を少し深く、長く切った。ぽろぽろと涙がこぼれた。

 雨が…雨が降るから―――。
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